仏足石ぶっそくせき

ぶっそくせき

仏足石は、昭和21年(1946)10月桜木実蔵によりこの地において偶然発見されました。この仏足石は、縦62cm、横90cm、厚さ27 cmの岩に釈迦の足跡として信仰される文様を浮き彫りにしています。仏足石とは、釈迦しゃか仏陀ぶっだ)が生涯を通じて諸方を巡り、説法した足跡を表現しようとしたもので初期のものは単純な図柄であったようです。インドの初期仏教においては、釈迦の像を作ることは恐れ多いことと考え、舎利しゃり (釈迦の遺骨)を安置する塔や法輪ほうりん(釈迦の説法を表すもの)、菩提樹ぼだいじゅ(釈迦がこの木の下で悟りを開いたとされる)等と一緒に仏足石が釈迦の象徴として信仰されていた様です。仏足石は時代が経つにつれ、釈迦の足跡の文様表現が豊富になり、輻林ふくりん三宝章さんほうしょう金剛杵こんごうしょ双魚そうぎょ 等が表現されるようになります。崇拝する地域は、インド、ビルマ(ミャンマー) 、タイ、ネパール、中国、朝鮮、日本の広範囲にわたっているようです。日本では、奈良の薬師寺やくしじに現存する物が最古の物です。側面の刻銘を見ると、天平勝宝5年(753)に造られ、その図の様式は、インドから中国を経由して日本に伝えられたことが明記されています。竹田に存在する仏足石は、この表現に似ています。中央に輻林が描かれ、かかと部分には山宝章が見られ、指の付け根部分には金剛杵、双魚、さらに指には火炎と卍が見られます。この足は、長さ53cm、幅24cmで、左右の大きさが同一で文様の大きさも同じです。また、左右の足の構図は対称です。造られた時期やどのように安置され、崇拝されていたかは不明です。国内で現存する物の中で年代の明らかなものは、大半が江戸時代以降の物です。